「うちのiPhone、OSを最新にしていないけど今のところ普通に使えている」——その認識は、Intuneを使っている現場ではもうすぐ通用しなくなります。Microsoftは「Plan for Change」として、Intuneの最小サポートOSをiOS/iPadOS 18以上に切り上げる予定を正式にアナウンスしました(参考:Microsoft Intuneの最新情報 – Microsoft Learn)。対象はMDM(モバイルデバイス管理)そのものに加えて、Intune Company Portalアプリ、そしてアプリ保護ポリシー(APP/MAM)です。
切り替えのタイミングは「iOS/iPadOS 27のリリース後、しばらくしてから」とされており、本稿執筆時点でMicrosoftから分単位の正式な適用日は明示されていません。すでにiOS 27がリリースされている今、法人のiPhone/iPad運用においては「対応はまだ先」ではなく「もう始めるべき」フェーズに入っていると考えたほうが安全です。
Intuneが前提とする「最小サポートOS」が、iOS/iPadOS 18に切り上がる
これまでIntuneは、比較的古いiOS/iPadOSバージョンでもMDM登録・Company Portalの利用・アプリ保護ポリシーの適用を許容してきました。今回の変更は、この許容範囲そのものを引き上げるという話です。該当するのは次の3つの機能です。
- MDM(iOS/iPadOS端末の登録・構成プロファイル配信などの基本機能)
- Intune Company Portalアプリ(ユーザーが自分で端末を登録・確認するためのアプリ)
- アプリ保護ポリシー(APP/MAM。Outlookなど業務アプリ内のデータを保護する仕組み)
さらに、ADE(Automated Device Enrollment)を使った無人セットアップ、いわゆる「ユーザーレス展開」の端末については、少し複雑な扱いになります。最小サポートバージョンはiOS/iPadOS 18になりますが、許可される最低バージョン自体はiOS/iPadOS 16以上とされています。つまり「サポートされる最新の前提」と「かろうじて動く許可の下限」に差があるということです。この差分が、現場での判断を少しわかりにくくしている部分だと感じています。
棚卸しの進め方は、大きく分けて「①対象端末の抽出 → ②アプリ保護状況の確認 → ③優先順位づけ」という3ステップで整理すると分かりやすくなります。


いつから、何が変わるのか:Company Portalとアプリ保護ポリシーへの影響
今回のアナウンスでもう一つ注意したいのは、「変更後に古い端末がどうなるか」についてMicrosoftが明示的な挙動(即時ブロックされるのか、段階的に警告が出るだけなのか)を公開資料の中で詳述していない点です。確実に言えるのは、iOS/iPadOS 18未満の端末では、Company Portalの正常な動作や、アプリ保護ポリシーの適用が保証されなくなるということです。
一方で、Microsoft 365向けのモバイルアプリ自体がどこまで古いOSをサポートし続けるかという別の変数もあります。Intuneがサポートを打ち切っても、業務アプリ側がまだ古いOSで動いていれば、表面上は「普通に使えている」ように見えてしまうケースも考えられます。この「見た目は動いているが、管理のサポート対象からは外れている」という状態が、一番扱いが難しいところだと思います。
ADEでの無人セットアップへの影響:許可バージョンはiOS 16以上
ADEを使って、箱出しの端末にユーザーの手を介さず構成を流し込む運用をしている会社では、この部分の扱いを特に確認しておきたいところです。ユーザーレス展開においては、許可される最低バージョンがiOS/iPadOS 16以上とされているため、極端に古い端末がいきなり登録できなくなるわけではありません。ただし、Intuneとしての「サポート対象」という意味では、やはりiOS/iPadOS 18以上が前提になります。
キッティング業務を外部委託している会社であれば、委託先に対して「今後のキッティングでは、納品前にiOS/iPadOS 18以上へのアップデートを前提にしてほしい」と、早めに条件を伝えておくと手戻りを減らせます。
棚卸しの始め方:対象端末の洗い出しとアプリ保護ステータスの確認
実際の対応は、次の2つの作業から始めるのが現実的です。
1つ目は、現在管理している端末のOSバージョンを一覧化することです。Intune管理センターの「Devices」>「All devices」で、OSやOSバージョンの列を使ってフィルタをかければ、iOS/iPadOS 17以下の端末がどれだけ残っているかをすぐに把握できます。
2つ目は、アプリ保護ポリシーの適用状況を確認することです。「Apps」>「Monitor」>「App protection status」で、PlatformとPlatform versionの列を見れば、ポリシーが適用されている端末のうち、どれが旧バージョンのままかが分かります。この2つを掛け合わせると、「管理はできているが、近いうちに保護が外れるリスクのある端末」を具体的な台数として把握できます。
整理すると、iOS/iPadOS 18以上の端末はMDM・Company Portal・APPの対象として継続される一方、iOS/iPadOS 17以下の端末はサポート対象外となり、挙動の保証がなくなります。

落とし穴:「古い端末だから後回し」が一番危ない選択になる
棚卸しをしてみると、どうしても「あと数台だから」「どうせ近いうちに入れ替える予定だから」という理由で、対応を後回しにしたくなる端末が出てきます。ですが、今回の変更が怖いのは、切り替えのタイミングが明確な「締切」として告知されるわけではなく、Microsoft 365アプリ側の対応状況も絡んで、気づかないうちに保護やサポートの対象から外れていく可能性がある点です。
一人情シスのように、棚卸しから交渉、実際のアップデート作業までを一人で抱えている現場ほど、「後でまとめて対応する」が結局一番のリスクになりがちです。台数が少ないうちに前倒しで確認しておくほうが、結果的に作業量は小さく済みます。また、どうしてもハードウェア的にiOS/iPadOS 18へ更新できない端末が見つかった場合は、それを「いつまで使い続けるか」を先に経営判断として決めておくことで、後から慌てて機種変更を交渉する事態を避けられます。
OSのサポート境界が変わるたびに、現場の棚卸し作業が発生するのは今回に限った話ではありません。ただ、変更の詳細が後から小出しに公開される今回のケースは、普段より少し早めに手をつけておく価値があると感じています。
Mobitech Solutionへのご相談
Intuneの最小サポートOS変更に向けた端末棚卸しや、古い端末の更新計画の立て方について相談したい場合は、Mobitech Solutionまでお気軽にお問い合わせください。