Android端末の選定を価格だけで決めてしまい、数年後に痛い目を見るケースを、実務の中で何度も見てきました。iPhoneであれば選択肢がそこまで多くないのに対し、Androidはメーカー・機種の数が非常に多く、価格だけで選んでしまうと数年後に痛い目を見ることがあります。

具体的には「セキュリティ更新がすぐに終わってしまった」「OSのメジャーアップデートが来ない」「MDMへの一括登録がうまくいかない」といったトラブルです。今回は、こうした失敗を避けるための手がかりとして、Googleが提供する「Android Enterprise Recommended」という制度を紹介します。

Android Enterprise Recommended(以下AER)は、Googleが定めた一定の基準を満たした端末・通信サービス・EMM(企業向けモバイル管理サービス)を認証するプログラムです。この認証を受けた端末は、企業利用において最低限守られるべき仕様が保証されているという意味で、選定の目安として使えます。AERの土台になっているAndroid Enterpriseそのもののセキュリティの考え方は、Android公式のセキュリティページで公開されているので、あわせて目を通しておくと制度への理解が深まります。

AERには複数のティア(等級)があり、想定される用途によって求められる基準が異なります。オフィスワーカー向けの標準的な端末(Knowledge Workerティア)、より基本的な業務端末向けのティア、そして倉庫や工場など過酷な環境向けの「Rugged(頑丈)」端末向けティアなどが用意されています。

AERの認証基準の中で、情シスが実務上もっとも気にすべきポイントを3つに絞ります。認証を受けた機種は、Googleが公開しているAndroid Enterprise Recommendedの認証端末一覧で確認できるため、購入前に候補機種名で検索して、どのティアの認証を受けているかを確認する、という一手間を挟むだけでもリスクを大きく減らせます。

まず1つ目は、セキュリティアップデートの提供期間です。ティアによって異なりますが、多くのティアで「セキュリティアップデートを90日以内に提供する」ことが求められています。これは、脆弱性が公表されてから実際に端末へ修正が届くまでの最大期間の目安になります。

2つ目は、OSメジャーアップデートへの対応です。AER認証端末は、出荷時のOSバージョンに加えて、次のメジャーバージョンへのアップグレードもサポートすることが求められています。「買ったばかりなのにOSアップデートが来ない」という事態を避けるための、分かりやすい判断基準になります。

3つ目は、一括登録方式への対応です。ゼロタッチ登録・QRコードによる登録・NFCによる登録のいずれかに対応していることが求められており、これにより大量導入時のキッティング作業を効率化できます。この3つの登録方式のうち、どれに対応しているかは機種によって差があるため、MDM側の対応状況とあわせて事前に確認することをおすすめします。

倉庫や工場、屋外作業の現場で使う端末を選ぶ場合は、Ruggedティアの認証端末を検討する価値があります。このティアでは、防塵・防水性能(IP54相当)や、MIL-STD-810Gなどの規格に基づく落下試験への耐性が求められています。一般的なオフィス向け端末を現場に投入して落下・水濡れで頻繁に故障させてしまうよりも、最初からRugged認証端末を選んでおくほうが、長期的なコストは下がるケースが多いと感じています。

また、Ruggedティアの中でも、セキュリティアップデートの提供期間が「初回出荷から3年間」といった形で明示されているものがあります。現場端末は導入後に長期間そのまま使われることが多いため、この保証期間の長さは、通常のオフィス端末を選ぶ時以上に重視したいポイントです。導入時の価格だけでなく、何年間サポートが続くかを含めたトータルコストで比較検討することをおすすめします。

AERは端末だけでなく、EMM(MDMサービス)側にも認証があるという点は見落とされがちです。EMM側は、Android Enterpriseの3つの管理形態(ワークプロファイル・フルマネージド・専用デバイス)のうち、少なくとも2つで検証を受けていることなどが求められています。自社で使っているMDMがAER認証を受けているかどうかも、あわせて確認しておくと、端末とMDMの組み合わせで起きる相性問題を事前に避けやすくなります。

端末は認証済みでも、MDM側の設定次第でゼロタッチ登録がうまく動かない、というケースも実際にあります。新しい機種を導入する前には、少数台での検証を必ず挟み、実際にキッティングフローが問題なく流れるかを確認してから、本格導入に進むという順序を守ってください。

Androidの端末選定は、価格やスペック表だけで判断すると、後からセキュリティ更新やOS対応で苦労することがあります。Android Enterprise Recommendedという第三者の認証基準を一つの目安として持っておくだけで、選定の失敗を大きく減らせます。次の端末更新のタイミングで、ぜひ候補機種がAER認証を受けているかを確認してみてください。

Android端末の選定基準づくりや、MDMとの組み合わせ検証についても、Mobitech Solutionがご相談を承っています。技術と運用の、ちょうどいい答えを一緒に見つけましょう。

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