はじめに
「新しいIT担当者が入るたびに、サービス管理者の権限を一から個別設定している」——そんな運用、心当たりはありませんか。
先週、Apple Businessの管理者ロールについて、フルコントロールを渡しすぎる・必要な権限すら渡さない、という2つの失敗パターンをお伝えしました。今回は同じテーマを、Google Workspaceの管理者ロールとゲストアカウントという切り口で掘り下げます。
[リンク: その権限、渡しすぎていませんか?Apple Businessの管理者ロールを設計し直す]
なお本記事では、個々のユーザーが持つ「ユーザー権限」の話は扱いません。あくまで管理コンソール側の「管理者ロール」と「ゲストアカウント」に絞って解説します。
Google Workspaceの管理者ロールをおさらいする
Google Workspace管理コンソールには、あらかじめ用意されたシステムロールがいくつも存在します。代表的なものを挙げると、サービス管理者、グループ管理者、グループ編集者、グループ閲覧者、ヘルプデスク管理者、インベントリレポート管理者などです。それぞれのロールは担当できる操作範囲が細かく分かれており、「特定のサービスだけ触れる管理者」を作ることもできます。
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ここで一人情シスがよく陥る失敗が、Apple Businessのときと同じ構図です。新しい担当者が入るたびに「とりあえずスーパー管理者にしておけば安心」と考えて、必要以上に強い権限を渡してしまう。あるいは逆に、権限を絞りすぎて、ヘルプデスク対応のたびに本来の管理者に取次が発生し、対応スピードが落ちてしまう。どちらも、権限設計を「人」ではなく「役職」で決めてしまうことが原因です。
個人ではなく「グループ」に権限を配る、という発想
Google Workspaceには、個々のユーザーに直接ロールを割り当てるだけでなく、Googleグループ単位で管理者ロールを割り当てる機能があります。たとえば「IT管理者グループ」というグループを作り、そこにサービス管理者の役割を割り当てておけば、グループのメンバーは全員、自動的にその権限を持つことになります。
この仕組みのメリットは、権限管理の手間が大きく減る点です。新しいメンバーが加わったときは、そのグループに追加するだけで済みますし、逆に退職・異動の際もグループから外すだけで権限が失われます。1人1人に個別に権限を設定・解除する運用と比べると、ミスが起きにくく、棚卸しもしやすくなります。
管理コンソールの「ユーザー」ページでは、そのユーザーに直接割り当てられているロールと、所属グループ経由で間接的に受け取っているロールの両方を確認できます。「このユーザー、なぜこの権限を持っているんだろう」と迷ったときに、まず確認すべき画面です。
ゲストアカウントという選択肢
Google Workspaceには、外部の取引先や業務委託先を安全に招待できる「ゲストアカウント」という仕組みも用意されています。2026年4月に段階的にロールアウトされた機能で、ゲストとして招待されたユーザーは、管理コンソール上で「Workspace Guests」という専用の組織部門(OU)に自動的に振り分けられます。
このOU単位でセキュリティポリシーを個別に適用できるため、社員とゲストを同じ設定で扱ってしまうリスクを避けられます。またゲストアカウントは、新しくファイルを作成したりファイルを所有したりすることができない仕様になっており、組織のデータ所有権は常に招待した側の組織に残ります。ライセンスごとに無料のゲスト枠が5人分付与される仕組みも用意されており、たとえば8ライセンスであれば最大40人までゲストを招待できます。
外部パートナーとの共同作業が発生するたびに「一時的に社員アカウントを発行する」という運用をしている組織は多いと思いますが、そのやり方は退職者アカウントと同じように、消し忘れという情報漏洩リスクを抱えます。ゲストアカウントであれば、専用OUで一元管理でき、契約終了時の削除漏れも見つけやすくなります。
実務での設計の勘どころと落とし穴
グループベースのロール付与を導入する際は、まず「どの業務範囲に、どのロールが必要か」を先に整理し、その単位でグループを作ることをおすすめします。役職名でグループを作ると、実際の業務範囲とロールの対応がずれてしまうことがあるためです。
導入後は、定期的な棚卸しも欠かせません。管理コンソールの「ユーザー」ページで、直接付与と間接付与(グループ経由)の両方を確認できることは先ほど触れましたが、この確認作業自体をカレンダーに組み込み、半期に一度など決まったタイミングで見直す仕組みにしておくと、権限の肥大化を防ぎやすくなります。特にグループ経由の権限は「誰が何の権限を持っているか」が見えにくくなりがちなので、意識的に確認する習慣が安全運用の鍵になります。
ゲストアカウントについては、招待できる人数がライセンス数に連動する点に注意してください。想定より多くの外部パートナーと協業する組織では、事前にライセンス数とゲスト枠のバランスを確認しておく必要があります。
また、いずれの機能も比較的新しい機能であるため、管理コンソールの表示や設定手順が今後変わる可能性があります。実際に導入する際は、必ず最新のGoogle Workspace管理者ヘルプで手順を確認しながら進めてください。
まとめ
Apple Business、Google Workspaceと2回にわたって管理者権限の設計を見てきました。プラットフォームは違っても、根っこにある考え方は共通しています。権限は「役職」ではなく「実際に何をする必要があるか」で設計し、渡しすぎず、渡さなすぎず、定期的に見直す。次回は、MDM(LANSCOPE)の管理者権限について取り上げ、この3部作を締めくくります。
[リンク: LANSCOPE管理者権限とロール設計]
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Google Workspaceの管理者ロール設計、グループベースの権限管理への移行、ゲストアカウントの運用設計についても、Mobitech Solutionでは実務目線でのご相談を承っています。「今の権限管理、属人化していないか不安」という方は、ぜひ現状の設定を一緒に確認させてください。