「数十台、数百台のAndroid端末を一台ずつ手動で設定するのはもう限界だ」
「キッティング作業中にGoogleアカウントの認証で止まってしまう……」
多くの中小企業の情シス担当者様が抱えるこの悩み。解決の鍵を握るのが、Googleが提供する「ゼロタッチ登録(Zero-touch enrollment:以下、ZTE)」です。
ZTEを導入すれば、端末が未開封のまま社員の元へ届き、電源を入れた瞬間に自社専用の設定が自動で開始される「ゼロタッチ」な運用が可能になります。今回は、その管理の要となる「ゼロタッチポータル」の機能から、導入ステップ、マルチキャリア運用の注意点までを網羅的に解説します。

ゼロタッチ登録(ZTE)と「ゼロタッチポータル」とは?
ゼロタッチ登録(ZTE)とは、Android端末を企業向けに一括してセットアップするためのGoogleの公式プログラムです。Appleの「Automated Device Enrollment(ADE:旧DEP)」のAndroid版と考えるとイメージしやすいでしょう。
そして、その管理を行うためのWebサイトが「ゼロタッチポータル」です。
ゼロタッチポータルの主な役割
- 端末の紐付け確認: 購入した端末が正しく自社に登録されているか確認する。
- 構成(設定)の作成: 端末起動時にどのMDM(管理ソフト)に接続するかを定義する。
- 端末への構成割り当て: どの端末に、どのMDM設定を適用するかを選択する。
導入までの全体フロー
ZTEを利用するには、単に端末を買うだけではなく、事前の準備とポータル上での設定が必要です。
導入ステップのフローチャート

事前準備:管理用Googleアカウントの作成
ZTEを始めるにあたって、ポータルにログインするための「管理用Googleアカウント」が必要です。ここで注意すべきポイントが2つあります。
独自ドメインか、一般アカウントか
- 推奨: 会社の独自ドメインに紐付いたGoogle Workspaceアカウント、または管理者共有の一般Googleアカウント(@gmail.com)。
- 注意点: 個人のプライベートアカウントを使用すると、担当者の退職時にアクセスできなくなるリスクがあります。必ず「組織の管理者」として管理できるアカウントを用意してください。
販売店への申告
端末購入時に、このGoogleアカウントを販売店に伝えます。販売店がこのアカウントをポータルに関連付けることで、初めて管理画面にアクセスできるようになります。
ゼロタッチポータルの基本機能とユーザーロール
ポータル内では、複数の担当者に異なる権限(ロール)を割り当てることができます。
ユーザーロールの種類と役割
| ロール | 権限内容 | 適した担当者 |
| オーナー | 全ての権限(ユーザー追加、構成作成、端末管理)。 | 情シス責任者 |
| 管理者 | 構成の作成や端末の割り当てが可能。 | 運用実務担当者 |
| 閲覧者 | 登録されている情報の確認のみ。 | 監査・管理のみの担当 |

【実践】ゼロタッチポータルでの具体的な設定手順
ポータルにログインできたら、以下の手順で設定を進めます。
手順1:MDM構成(Configuration)の作成
- 左メニューの「構成」をクリック。
- 「+」ボタンで新規作成。
- 構成名: 任意(例:営業用スマホ設定)。
- EMM DPC: 利用するMDMアプリを選択(例:LANSCOPE Endpoint Manager, CLOMO等)。
- DPC extras: MDMから指定された「JSON形式のコード」を入力。ここが自動接続の「宛先」になります。
手順2:端末への構成適用
- 左メニューの「デバイス」をクリック。
- 購入した端末のIMEI(製造番号)が表示されていることを確認。
- 適用したい端末を選択し、作成した「構成」をドロップダウンから選択して適用。
マルチキャリアで運用する場合の注意点
「ドコモとソフトバンク、両方から端末を買っている」といったマルチキャリア環境でも、ZTEなら一元管理が可能です。
IDの統合
複数の販売店から購入しても、同じGoogleアカウントを各社に伝えれば、一つのポータル画面に全キャリアの端末が集約されます。 これにより、キャリアごとに異なる管理画面を開く手間がなくなります。
販売店ID(リセラーID)の管理
各販売店には固有の「リセラーID」があります。ポータル内の「設定」タブから、信頼できる販売店を追加・承認することで、スムーズに端末の自動登録が行われるようになります。
運用時の注意事項とトラブルシューティング
端末が表示されない場合
ZTEは「対応した販売店」から直接購入する必要があります。一般の家電量販店やネットショップで買った端末は、後からポータルに登録することができません。必ず購入前に「ゼロタッチ対応」を確認してください。
二段階認証の罠
管理用アカウントに二段階認証(SMSなど)を設定している場合、キッティング現場で認証コードを受け取れずログインできない事態が発生しがちです。バックアップコードを用意しておくか、管理用アカウントの認証方法を工夫しましょう。
まとめ:ゼロタッチで「攻めの情シス」へ
ゼロタッチポータルを活用した運用は、単なる工数削減ではありません。
「箱を開けずに設定が終わる」という仕組みを構築することで、情シス担当者様はキッティングという「作業」から解放され、よりクリエイティブなIT戦略の立案に時間を割けるようになります。
Mobitech Solutionでは、ZTEのポータル開設からMDMとの連携、マルチキャリア環境の統合管理まで、現場に即した導入支援を行っています。
「うちの環境でもゼロタッチはできる?」「設定コード(JSON)の書き方がわからない」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。モバイル運用の「ちょうどいい答え」を一緒に見つけましょう。
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